THEブラック企業・3 キャバレー&クラブ 黒服前編
ウェイター編からの続きになります。
-前回からのあらすじ-
某S・Gグループに正社員としてウェイターとして、弟と別々の店舗で働く事となった。私はブラック極まりない環境の仕事の中で常に人員不足に悩まされ、私が働いていた店舗の黒服がとうとう飛んでしまった為、働き者の私に目を付けた常務はまだ一週間しか水商売の経験がない私を黒服に指名し、それを私は承諾することとなった。
☆黒服時代は長くなるお話なので2部構成とさせていただきます。予めご了承ください。
いいなぁ、こうちゃん。⚫ー⚫なんてなまら適当だから。俺も黒服になりたいなぁ…。
いや、⚫⚫⚫-21はマジで鬼畜だから。でも黒服になったら多少楽できそうな気がするわ。ホールの仕事やらんくていいし。
てかさ、宇宙のとこ確か社長の弟で副社長経営の店なのに、売り上げ良くないよね。売り上げ上げる為にヤってるキャストいるよ。あの聖⚫なんて店はヤレるキャバだって有名だしさ。うちの店もVIP部屋ある。
うーん、副社長は能力ないっぽいんだよね。こうちゃんのとこの常務はやり手だってどこの店でも有名だわ。あー、ヤってる奴ヤってるよね。やばいよね、摘発されたらさ。専用のVIP部屋かぁ、やばくない?
なんて、噂話をしながら歩いてすすきの近くなると、同業者と出くわして早速恒例の挨拶。
ザス!ガス!ザス!ガス!
ザス!ガス!
そして、俺は黒服デビューの初日を迎える。
黒服になると炊き出し夕食の買い出しをしなければいけなくなり、早めに家を出てロビンソン(現ラフィラ)で食料を毎日買う。前日に事務のおっかないBBAから1万円が入った黒い袋を貰って、その金額内で常務、次長、マネージャー、俺と従業員2〜3人位のオカズを買って作る。
米や調味料などは業者から毎回配達用意されていた。
買い物の2つのポイントがあるんだな。1つ目はとにかく美味しくなければならないのと、毎回違うメニューを作らなければいけない。あと何曜日か忘れたけど、丼物日、カレー日と固定されていた。
俺は料理が好きで得意だしこだわるから、かなり評判が良く常務や次長、マネージャーから美味い美味いと褒められていた。
2つ目が厄介。常務の嫌いなメニューを作っては駄目。嫌いな食べ物も聞くのはご法度。常務と気軽に会話が出来るのは次長とマネージャー、他の幹部だけ。あとキャストね♡
従業員とアルバイトは、常務に聞きたい事は彼ら(次長・マネージャー)を通さねばならない。ぐぬぬ。どれだけ偉いんだおまいら。
次長に言われた。「食事メニュー作る時よーく考えて作れよ、常務好き嫌い激しいからな。」
(えーーーーっ!?)
有り得なくない?
実際そういう場面を先週見ていた。食事が並べられた時に、いきなり並べられた料理を見て、
常務「俺、今日、いらねえわ」と言ってどっか行ってしまった。勿論次長とマネージャーと前黒服は青ざめていて、後で絞られたらしい。
有り得なくない?
しかも好き嫌いな物聞いちゃ駄目って、あんたワガママ過ぎでしょ!!
先週のそれで“カレイ”は嫌いなのは知ることができた。 「カレイは魚じゃない」と仰っておりましたよ。
その常務という人…まぁ見た目ハンサム、背が高く超カッコいくてやり手。しかも俺の2歳年下。でもキレたら“長州並にキレる”。
長州「なぁーにコラ!タココラ!」
橋本「なんだコラ!」
「動画参照:Youtubeコラコラ問答(プライバシーポリシー)」
脱線しましたが、怖い、まじで怖い。
常務が食べれた魚は「鮭、ホッケ、キンキ、サワラ、スズキ、タイ、トビウオ、ヒラメ、フグ…」(高い魚が好きなんじゃねーか)覚えてるのはそのくらいで、基本焼き魚が好きだったようだ。
黒服になってからまぁ、常務の食事に気を使う使う。それでも賄いは得意だから、ササッと済ませて俺は常務のお気に入りになった!またそれがマズいんだな。何故か?次長とマネージャーのやっかみを買うからだ。
「お前調子こいて気安く常務と話すなよ」といじめが始まる。だから幹部達には平等に気を使わなければいけない。
黒服になるとウエイターの白シャツ蝶ネクタイに黒ベストから、黒いジャケットを着て蝶ネクタイをする。そしてインカムを持つ。なんか気が引き締まる思いになりウキウキしていたのを思い出す。カッケーな俺!みたいな。今思えばただの馬鹿だ。
賄いは相変わらず俺が担当していたが、新人の従業員にも教えなきゃいけないんで大変だった。ほとんどの男共は料理が出来ない人ばかりだったから、米の炊き方から教えた。
その他毎日入れ替わり立ち替わり、入ってくる新人に開店作業を教える。パチ屋で班長をしていたので仕事を教えるのは意外と得意だったけど、覚えが悪い人ばかり来るので酷く疲れた。夜の商売は身分不詳な怪しい人物も採用するので、様々な過去を持った人間ばかり集まるのだ。
俺の店はドル箱キャバだったので、ホールがデカい。豪華なシャンデリアとかまぁ、ピカピカ。そして抱えているキャストの数が多かった。キャスト表とシフト表を受け取り全員のキャスト源氏名を覚えなければいけない。その数約30〜40人はいた。しかも、その1人1人の性格も覚えろと。リーむー。覚えるのりーむーです。
顔と源氏名と番号(ナンバー)を覚えるなんて、いつまでに覚えられるか自信を失った。しかもペーペーの新人黒服にキャストは冷たかった。名前を間違えようものなら…とんでもないことになる。
ひたすら暗記した。しかし常務は名前と顔くらい三日で覚えれるだろ、と俺にサラッと言いやがった。プレッシャーハンパねぇ。
はい、リームー。
開店作業(掃除など)は従業員に任せ、俺は事務のBBAの使いっ走り。新人キャストの身分証明書のコピーとったり、日払い希望を受け付けて常務に報告する。そして開店に向けてホールのボックステーブル席の最終チェックをする。
そしてマネージャーに報告。19:00開店となる。
お客さんがまた来店しない中でもホールではガンガン音楽を鳴らし、マネージャーのマイクとウェイター達のテンション高い声が響く。音楽を選曲して流すのも俺の仕事。映像音声ミキサー室だったか?ちょっと!忙しすぎるぜ?
自分は常務と一緒にお客さまのお出迎え役で、エレベーターが開くまで、エレベーター前に突っ立っていることになる。お客さんは基本呼び込みはしない。しなくても続々と常連客、新規客は来るからだ。なんせ人気店だったから。
その間出勤したキャストは待機部屋で必死に携帯で営業メールか、お菓子食ってる。嬢はライバル同士で競争もとても激しかった。ウチの店はグループで屈指の太客を掴んでいる、人気凄腕キャバ嬢がいた。常にグループ店トップを狙うために常務や次長はキャバ嬢達の上位を競わせていた。他店からヘッドハンティングしたり、スカウトしたり嬢の奪い合いだ。
そんな売れっ子キャバ嬢は頻繁に客と同伴で出勤してくる。そんな売れるキャストは俺らからしたら女王様だった。
「いらっしゃいませ!さくらさん、お早うございます!ご苦労様です!1名様お客様ーッ!ごあんなーい!ありがとうございます!らっしゃいませー!」
ホールからはマネージャーの煽りマイクと従業員のデカい声と手拍子が響く。
「らっしゃいませー!」
売れるキャバ嬢はセンスがあるんだよな、地道な努力があったりとか、客の心を掴むのが上手い。案外トップ5なんかはそんな可愛いとか美人ではなかったりする。つまり顔やスタイルだけでは売れないのだ。
そして売れないキャバ嬢は客の奪い合いをしたりとか。 まぁ、ホントにキャスト同士の揉め事が多かった。基本的にそんなキャストはメンヘラだったりする。閉店後ベロベロに酔って客の愚痴を聞いたりする。それが一番辛い。キャストが帰ってくんなきゃ、こちとら帰られないからね。
あまりにも指名が無くフリーの客にヘルプで入れても使えない子は、次長やマネージャーから教育指導が入る。 「営業かけろよ」「最近同伴アフターしてるか」うーん、なんかロールプレイングみたいのしてたな・・・
それでも駄目ならVIPルーム or 秘密部屋行きになる噂も。。。 どこぞの会長やら社長、悪そうな面した太客が毎夜毎夜訪れ、一体奥で何をしてるんだか…。
大体風営法で深夜1:00までの営業なのに一応ラストオーダーは30分〜1時間前だけど、看板下ろして(ネオン消して)営業続けてましたからね。新規客とかは徐々にはけていって、店仕舞いは常連客次第。 遅くても営業は3:00位でその後はキャストに日払いをして、従業員達の終礼は俺がやる。帰りは次長とマネージャー達とシャッター下ろして、鍵閉めて帰る。時刻は4:30〜5:00過ぎ、それでも自分の居た店は早く閉めてた方。ら
売り上げ上位の店ほど、チャチャッと売り上げ計算して片付けてすぐ帰る。キャストの上がりも早い。自分の仕事が終われば帰っていいのだ。俺は弟と待ち合わせして帰っていたからね。弟の店は遅い、マジで遅かった。一体何してんの?って位、マジキチ⚫ー⚫だわ。
弟の上がる時間が朝の6時過ぎとか当たり前。なんで?って弟に聞くとやはり仕事が遅くて、使えない奴らが多かったらしい。あと売り上げが他店より負けてるからギリギリいっぱいまで営業してたんだろ。⚫ー⚫は黒服がキャッチやってたとかも聞いたことあるし。
本番できるキャバクラで有名だからな。いつガサが入ってもおかしくない。サツが来るのは実際あったらしいし。あと客との喧嘩ね。あの時代は発売されてなかったけど、“リアル龍が如く”だったわ。この大騒動は第2部で書きます。
しかし…15:00出勤の6:00退勤ってブラック過ぎるだろ!休憩という休憩は、開店前のホール清掃チェックの食事の時ぐらいだ。俺は黒服でもほぼ賄い担当だったし、あれはシラフで出来ない仕事です。
強烈な縦社会だから、先輩がウェイターで俺が黒服。自分の性格上気まづかったけど、次長は「従業員が経験があろうが、歳上であろうがお前が上司なんだからウェイターをキッチリ指導しろ」って言われて少しずつ精神が崩壊しつつあった。
暗記力の自信がある、この俺がキャストのナンバーと源氏名、顔が覚えられなかったのだ。このフリーの客 、新規客にはリピーター率を考えて嬢を付けろとか。
客を入れていく順番なども決まっていて、間違って4〜5人のボックス席に案内してしまい、そこに団体などがいきなり入って来られるとシングルのテーブルしか空いてなかったら入れなくなるから、大変な事になる。 当然インカムで怒鳴られ詰められる。
その客をご案内する振り分け方が、俺には理解不能だった。常連の客の顔も覚えて、その客の指名の子が大抵誰と誰を指名するのか?全く教えてもらえず自分で覚えろという無言の圧力と強烈なプレッシャー。ホールが満席になり忙しくなれば、ウェイターのヘルプにも行く。
あまりの忙しさに終礼を終えたころは脱いだ黒ジャケットは汗でびしょ濡れだった・・・
だんだん・・・飛びたくなる気持ちが分かってきた…
ヤバいかも。
まだ長くなるのでまた次回に続きます。 お読み頂きありがとうございました。 またお越し下さいませ。お待ちしております。💐🍾🍸🖤
あの頃のバリピル宇宙(左)とdrake(右)。