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機動戦士Zガンダム 百式 クワトロ・バジーナ・14

☆この記事はZガンダムの百式とクワトロ・バジーナの考察、100回シリーズになります。

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Zガンダムでのクワトロは仲間の死とはどのように考えていたものか。

赤い彗星と恐れられて、ルウム戦役では圧倒的な働きを見せ、連邦軍の戦艦を撃沈して来たシャア時代、ザビ家打倒のために燃え滾る志をもってジオン軍の大佐まで登り詰めた。

そこでは同僚との部下との「死」という別れを数多く経験してきたに違いないが、一年戦争での彼は極めてクールだ。感情をあらわにしたのは「ララァ・スン」だけではなかろうか?

ベルトーチカ・イルマはクワトロ大尉を見て、素直にアムロ達に言った、

ベルトーチカ「なんだか怖い人ね、ギラっとして。戦争以外じゃ生きていけない人なんじゃない?」

カミーユ「あなただってカラバの一員なんだ。戦いを全く否定するわけじゃないんでしょ?」

ベルトーチカ「でもね、あの人には平和なインテリジェンスを感じないわ」

アムロ「クワトロ大尉はそんな人じゃない。本質的には優しい人だ」

とはいったものの、内心アムロがこの時どう思ってたかは謎である。“本質的に”と付け加えたところがまさにシャアを理解しているアムロの発言でもある。

しかし、ベルトーチカの言ったことは間違っていない。本当のところを彼女は言ったのだった。

今日はクワトロ・バジーナ時代の彼の仲間に対する感情を考えてみよう。


クワトロが失った2人の人物

一番強烈な死と言えばZガンダムでのシャアのエゥーゴ設立から共にして来た従者、一年戦争でも共にした。アクシズでも一緒だったんだろう。

アポリーとロベルトの死である。それも自分が設計に関わっていたリックディアスでだ。

Zガンダムが始まったばかりに登場したアポリーとロベルト、そしてシャア。そこでの会話が印象的だ。

クワトロ「アポリー中尉、調子はどうか?」

アポリー「コックピットが違っても3日もあれば自分の手足にすることができます」

ロベルト「自分達はマニュアル通り訓練などはやってきていません。それで一年戦争も潜り抜けてきたのですから」

クワトロ「ロベルト中尉、その過信は自分の足をすくうぞ」

ロベルト「ははっ!クワトロ大尉」

ここでロベルトの死を少なからずも、私は感じてしまった...。


ロベルトの死

地球のジャブロー降下作戦でエゥーゴの主力パイロットが地球を降りた。大気圏突入をしてティターンズ部隊と戦った時には小隊は少なくなってるいるはず。

その中でもクワトロ隊はカミーユと共にジャブロー基地の中枢へと辿り着く。ここではまだリックディアスはかなりの強さを発揮していて、ロベルトは順調だった。

しかしグリーン・ノア1でのジムⅡとの苦戦していた危うい戦い方をしていたロベルトを見ていて、いつその時...死が来るのか?…と。

結局ジャブローは引越しをした空家で、地下深くに核爆弾がセットされていてエゥーゴ部隊は急遽脱出を余儀なくされる。

ガルダ2機を総動員したエゥーゴは、カミーユがレコアとカイを見つけるのに時間がかかり、クワトロとカミーユがガルダに戻らない時にロベルトらは敵に援護射撃をしていた。

この後、地球のエゥーゴ勢力カラバと接触をしてエゥーゴのパイロット達を宇宙に上げることになる。

ティターンズ部隊の残党ハイザック隊が襲ってきた時、リックディアスとネモ隊は離陸したガルダから迎撃する。その時マークⅡと百式は姿を現した。レコアとカイを手に乗せたカミーユのマークⅡは、先にガルダに移らせてクワトロとハイザックを撃とうとしたが、

クワトロ「カミーユ行け!」

と言われてガルダに飛び移る。

百式がギリギリまで引っ張って敵を抑えていたが、限界の距離まで離れたガルダに、

クワトロ「届くか…?」

とフルバーニャで出力最大の百式、ぎりぎりカミーユのマークⅡが出した手は百式の手を掴みガルダに乗ることが出来た。

まあすべての宇宙の奇跡から護られているシャアが、ガルダに乗り遅れても死ぬわけがない。仮に核爆発に巻き込まれても百式がきっと守ってくれるに違いない(笑)。


さあ、そしてカラバが制圧しているケネディ空港からエゥーゴのパイロットとモビルスーツをシャトルに載せて脱出するのだが、シャトルのパイロットが一人足りない。そこでパイロット経験のあるアポリーに白羽の矢が立つ。

ロベルトから言われる「昔取った杵柄だろ」と。これがアポリーとロベルトの最後の会話になってしまった。

ケネディ空港を襲ったブラン少佐のモビルアーマー、アッシマーは空中戦で実に有利となり、クワトロ、カミーユ達のモビルスーツを手玉にとる。

アッシマーはもう一つのシャトルを撃破してみせる。苦戦するマークⅡ と百式。

そしてロベルトはシャトルに乗らずにクワトロたちと戦った。

ロベルト「なんでこんな時に!」

そして応戦したリックディアスのロベルトは「デカいだけで勝てると思うな!」と言い放った後、モビルアーマーとは不利な地上戦を強いられてアッシマーのビームが、リックディアスの腹部を直撃して脱出できずに爆死した。

それを真近で見たカミーユは「ロベルトさん!!」と声をあげた。アポリーもまた操縦桿を握りながら戦友ロベルトの死をまざまざと見て唇を嚙みしめ、涙をながした。

その後アポリーとエゥーゴのパイロットを乗せた旧式のシャトルは無事に宇宙へと上がり、アーガマにたどり着いた。

この直前にクワトロをシャアだと問い詰めて「クワトロを修正した」(ぶん殴った)カミーユだったが、ケネディ空港の脱出の際に、今度は先にガルダに飛び乗った百式の手によってガルダに載ることが出来た。

その後のクワトロとカミーユの会話である。

カミーユ「大尉、ありがとうございました。」

クワトロ「君こそよくやってくれた」

カミーユ「でも、ロベルト中尉が」

クワトロ「いいパイロットだったな、これが戦争だ」

カミーユ「たまりませんね」

クワトロ「そうだ。しかしでも感傷に浸っているわけにはいかない。これだけ同士がいればまだまだ戦える。装備と点検と修理を急ごう!」

とベテランパイロットの戦死にあっさり。


そして15話で再度カミーユに、

クワトロ「カミーユ、マークⅡ をいつでも出せるようにしておけ!」

カミーユ「大尉は、ロベルト中尉が戦死したこと何ともないんですか!」

クワトロ「宇宙に帰りたいのだろ!」

カミーユ「そ、そりゃあ…」

クワトロ「帰ってみせるのがロベルト中尉に対しての手向けだ!戦場での感傷はやめろ!」

と確かに真っ当な指揮官としての部下への物言いだが、やはりなんとも冷たい男。時には亡くなった者への慰めをするのも軍の慣わしではないだろうか?たとえばロベルトを偲んで酒を酌み交わすとか。

あ、カミーユは未成年か…。


アポリーの死

アポリーは最終決戦まで生き残っていて欲しかった。クワトロはもうアポリーにリックディアス隊の隊長として任していた。もうクワトロ隊の下には入らないのだ。エゥーゴの戦士として、アポリーには役目があった。

リックディアス隊を守ることと、ファも守ることだった。

アポリー「よせええー!!」

そしてその通りに彼はファをかばって、ジェリドのバイアランのメガ粒子砲を、ロベルトと同じ腹部に直撃のビームを食らい脱出もできずに死んだ。

ここでもリック・ディアス爆発の際に、

カミーユ「うあああー!ア、アポリー中尉ー!!」と絶叫していた。

そして、アクシズがゼダンの門に衝突し、戦場ではジェリドのバイアランとZガンダムのカミーユが撃ち合いをしていた。クワトロは戦場にいたのだが…

クワトロ「カミーユ!一機のモビルスーツに構うな!」

とまたカミーユに弔い戦をやらさせず...

クワトロ「被弾したのか!」

カミーユ「いえ、だた…」

クワトロ「話はあとだ!離脱する!」

カミーユ「あ!はい!」


しかし、ロベルトの時とは違った。アポリー戦死後、作戦終了時にブリッジに戻ったクワトロは気が抜けたようにブライトに話しかけた。

ブライト「ご苦労だった、クワトロ大尉」

クワトロ「アポリー中尉が戦死した」

ブライト「ああ、本当にいいパイロットだった」

クワトロ「そうだ」

と、アポリー・ベイに関してはシャアはとても重要な人物の死だと理解したようだった。

人の死の時に流れるこの曲「サラの死」は何とも切ない。

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仲間が戦死をしたからといって感傷に浸るな!ここは戦場だぞ!

「帰ってみせるのがロベルト中尉への手向けだ」

シャアは「手向けだ」(たむけだ)

を使う。

「生きている間に、生きている人間のすることがある、それを行うことが死んだ者への手向けだ」

ファーストでのラストシーンではキシリアを討つ時に、

「ガルマ、私からの手向けだ。姉上と仲良く暮らすがいい」とこの台詞が名言になるほどだ。

そもそも「手向け」とは?

神仏や死者の霊に捧げ物をすることである。別れる人へのはなむけ。また卒業生へのはなむけの言葉でも使われる。

シャアは死んだ者への捧げ物として、死んだ者が願っていた事を成就させることで霊を慰める。または穿った見方で生贄としての意味としても使っていると思われる。

こんな冷たい人の周りに忠誠を誓ったジオンの民が集まるとは思えない。きっとシャアは体から溢れ出るオーラ、魅力だけで生きている人なのかも知れない。私もシャアに惹き付けられるその中の一人である。

少なくともZ時代では案外柔和な考え方になっていた時だったが、その後のシャアは愛する人、国民、軍や民兵などの事などを考えて行動する人間では無くなっていく。

本質的に優しい人間ならば「これでは地球が持たない」と言って、あたかも自分が正義だと詭弁をふるってアクシズを落とし、地球を寒冷化して大勢の人間を殺してしまう考え方には至らないはずだ。究極の正義とは一体何か?を考えさせる人物、それがシャア・アズナブルであります。


☆ここまでお読みいただきましてありがとうございます。


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【あとがき】

フランスを代表するシャンソン歌手のシャルル・アズナブールさんが94歳で亡くなったと1日、フランスメディアが伝えた。シャア・アズナブルの名前の由来になった人物で登場人物として、仮面を付けたライバルキャラクターとして考えた、サンライズの企画部飯塚正夫氏がすぐに浮かべたのが「勇者ライディーン」のプリンス・シャーキンであった。当時人気だったシャーキンにあやかって、ファーストネームをシャアに、それに富野由悠季監督がファンだった、フランス人シャンソン歌手「シャルル・アズナブール」を合わせて「シャア・アズナブル」というキャラクターが出来たようです。日本に先月来日しておりました。シャルル氏。突然の訃報にガンダムファン、シャアファンもショックであります。シャルル・アズナブール氏のご冥福をお祈り申し上げます。合掌。