Zガンダムレクイエム・18 最終回
18人目。
パプテマス・シロッコ
レクイエムシリーズファイナルです。
「私こそがレクイエムを飾る最期なのだよ。フフフ…」
それは木星帰りの強力なニュータイプ。
木星にはエネルギー源である核融合燃料ヘリウム3が大量に埋蔵されているため、採掘と輸送にあたるのが、木星輸送船団だ。
長期に渡る閉鎖環境と、地球の2倍半という木星の重力を克服するために木星船団の人間にはニュータイプとして覚醒する者が多いと言われている。
ファーストガンダムに登場したシャリア・ブルなどはその典型だった。
シロッコは木星船団の資源輸送艦ジュピトリスの艦長であったが、地球圏の支配という巨大な野望を秘め、ティターンズの戦列に加わる。
ファーストシーンは第10話
漆黒の宇宙を飛ぶ謎のMA。
クワトロのメガ・バズーカー・ランチャーが謎のMAを狙うが外してしまう。
「あれに乗っている男のプレッシャーなのか!」
謎のMA、メッサーラの正体はシロッコ。
気迫=オーラ=プレッシャーはニュータイプの特有な能力としてこれ以後知られることとなる。
シロッコの理想とは?
「戦争の後、誰が人類の支配を握るかで地球圏はどうにでもなる。その時に地球圏を治める天才が必要だと思えんか」サラとの会話(第21話)
「やはり人はよりよく導かれなくてはならない。指導する絶対者が必要だ」レコアとの会話(第49話)
こんなセリフを言えるのはカリスマたる所以だが、つまるところ新自由主義者でも何でもなく、旧近代的な絶対君主制を理想としている。
ニュータイプながら考え方が古いところに問題がある。
「戦後の地球を支配するのは女だと思っている」女性による支配というものに、もう少し理論上説得力を持たせることができれば、まだ納得できた。
シロッコは他人よりずば抜けた、ニュータイプに覚醒してしまったが為に、ただ野望心が強すぎる策略家、それが彼の正体だったのかも知れない。
ジュピトリス
シロッコの拠点である、核融合燃料、ヘリウム3を運搬する資源輸送艦。
その大きさは戦艦を上回る遥かに巨大なものである。
モビルスーツを開発、製造する機能は小規模コロニーといっても良い。
ジュピトリスで設計開発されたMSに、メッサーラ、ボリノーク・サマーン、パラスアテネ、ジ・Oと重火器モビルスーツがある、可変機はメッサーラだけであるが、どれも巨大で高性能だ。よくエゥーゴのリック・ディアスや百式が対等に戦えたものだ…。
女たらしのカリスマ
マウアー
「大人には大人の男が似合う……」
サラ
「君ならできるよ……期待している」
レコア
「この温もりこそ、君が求めていたものだ……」
シロッコのターゲットは、メンタルコンプレックスを抱いている女性の弱みにつけ込み、甘い言葉で囁き、己の野心の道具のために使う。
女であろうとなかろうと関係ない。
ティターンズの元締めジャミトフハイマンも信用の代名詞として「血判」を用いた。
フォン・ブラウンでのアポロ作戦でも、ジャマイカンもを欺き、月への単独降下を見事成功させた。
強敵になりそうなヤザンにも目を付け「私は大尉を他のパイロットとは同じ風には扱わん!」と野獣を飼い慣らしてみせた。
言葉巧みな策略と心理テクニックの才能もずば抜けたカリスマである。
インテリが招いた悲惨な末路
野望の王国を突き進むカリスマは凡人ジャミトフを暗殺した。
天才による天才のための天才の時代を目指して怒涛の進撃を開始した。
分裂したティターンズ一派の凡人大佐バスクを撃破。
野望実現の為には倒さねばならぬ、ハマーンとの精神戦!強力なニュータイプ同士の戦いにオールドタイプは理解不能である。
シロッコにとってシャアは特に許せない存在である。
「貴様の様なニュータイプのなり損ないは粛清される運命なのだ!」
シロッコの操るジ・Oにシャアの百式はただ逃げるしかなかった。
邪魔するものは全て「天才の足を引っ張る俗物」に過ぎないのだ。
しかしカミーユは多くの死を悼み、戦場して絶叫していた。これをシロッコは感じとり、この感覚は不愉快だ。これでは人類をより良い方向へと導くことができない。絶対的指導者が必要だと再確認する。
とうとうシロッコの最後が来た。コロニーレーザーの一撃でティターンズ艦隊が消え去り、野望の炎がどんどん小さくなってゆく…。
カミーユとの最終対決では、なんの因果だろうか?
シロッコの囲いの女達の魂がカミーユに結集して味方をする。
「私の知らない武器が内蔵されているのか?」
そしてガンダム史上無敵最狂状態でZガンダムはシロッコのジ・Oに特攻する。
シロッコのジ・Oは金縛り状態で動けない。
「動け!動け!ジ・O!何故動かん!」
土手っ腹を貫くウェイブ・ライダーにシロッコの顔が変形し、歪むわ、歪む酷いカリスマの悲惨な顔を見た。
「貴様の心も一緒に連れていく……」
黒いカリスマはただでは死なず、カミーユの精神をも崩壊させてしまった。
故に最強のニュータイプだった。
ハーレムを作ろうとしたシロッコよ、スイカバー。
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