機動戦士Zガンダム クワトロ・バジーナ 百式 34
☆本日もZガンダムにおけるクワトロ大尉(シャア・アズナブル)をリスペクトした100回シリーズになっております。
あと66回になりましたこのシリーズ。あと66回か...100回書くのって結構辛いっすね。シャア大佐バンザーイ!!
ジークジオン!!
さて、今日は?正義について。正義とは一体なんなのだろうか?2018年も終わろうとしている現在、今この時。正義について考えて見たいと思います。正義がこの世では正解なんでしょうか?大義のない正義でも悪意をもった正義でも正義と言うのでしょうか?
トランプから「孫は優秀な世界を代表する経営者だ」といわれた、最近上場した例の有名なグループ企業のトップに“正義”という名前が付く人がいますが、あれは正義なんでしょうか?逆に駄目な経営者といわれた世界のトヨタは本当に駄目なんでしょうか?何故米議会にトヨタは叩かれるんでしょうか?トランプは正義なんでしょうか?そもそもアメリカは正義なんでしょうか?
クワトロ「私はただ世界を誤った方向に持って行きたくないだけだ」
まずシャアの正義とアムロの正義。
アムロの正義とは?
一年戦争で救えた命も救えず、自ら人に手をかけた後悔。それはララァ。ララァ・スンはアムロにとって魂の共振が可能な少女だった。しかしそれを失ってしまったことでニュータイプとしての覚醒は高まった。
アムロが心を閉ざした原因はララァだけが理由ではなかった。それはニュータイプに覚醒したアムロは周りに囲まれるオールドタイプの中で彼には理解できないことが沢山あったからだ。
7年間何も出来なかった日々。アムロは自分の魂を解き放つのに7年かかった。それは地獄の日々だった。
時に正義とは強く信じることで、降り積もった後悔がのちに重くのしかかることになる。
一年戦争からグリプス戦役までの7年間の間、アムロは新たな正義を熟成させていたのである。連邦軍の一員であったがニュータイプは危険分子とされ軟禁生活を送っていた。しかしアムロは連邦軍の大尉である。ブライトは地球連邦軍の中佐として閑職に就いていたが、アムロだってティターンズに手を貸すことも出来ただろうが、彼はそれをしなかったのがかつてのホワイトベースの英雄アムロ・レイの正義だった。
アムロの正義はシャアとは異なる。
「守りたい仲間達」「それを脅かす敵」この2つが揃えばアムロの正義なのである。
元ホワイトベースの艦長ブライト・ノアも時の立会人としてエゥーゴに参加し、カイ・シデンもまたクワトロ・バジーナ大尉と名乗る人物を一発でシャアと見抜いたが、手紙を残していったカイもこの時は「シャアは敵ではない」と思って去った。なぜならシャアならば正攻法で連邦の腐敗を粛清出来ると感じたからルオ商会を紹介したり裏でバックアップしていた。
そしてシャアが地球でアムロと再会することにより、2人の正義が共に一致する時期がZガンダムである。
それはすべて元ホワイトベースの一員ハヤト・コバヤシ、アムロとの絆があったから出来たことだった。一致団結による正義である。
アムロの正義とはミクロ的な主観なんでしょう。
シャアの正義とは?
ならばシャアの正義とはマクロ的でしょう。それはアムロの正義より単純ではないからだ。シャアの背景には複雑な事情が絡み合って出来た正義なのである。
初めはザビ家復讐に燃えたシャアだったがジオンの将校として戦ううちにだんだんと変わってくる。ザビ家が作ったスペースノイドの高圧的なエゴをぶち壊すということだ。
しかしガルマを謀殺したものの、あとはキシリアをその手にかけて殺しただけ。一年戦争ア・バオア・クーの陥落から脱出したシャアはドズル・ザビの娘と共にアクシズへ帰ったが、ザビ家の血を根絶やしにするならばミネバも必要はないはず。しかしシャアはそれはしなかった。
敗戦国として残ったジオンの人々の心の拠り所はミネバ・ザビ王女である。多分シャアは「幼子に罪はない」というだろう。シャアらしいといえばシャアらしいが汚れ仕事はしないシャアはやはり卑怯だと思わないだろうか?
そのせいでそれ以後一年戦争ではバリバリだったシャアだったのに、クワトロ・バジーナ時代はうだつの上がらないシャアを演じることになってしまう。
それはミネバを人質のように政争の道具に使うハマーンを倒さねばなるまい。いやハマーンを倒したのちにアクシズにミネバをそのままにしておく事もできまい。
シャアが地球圏へいったのはティターンズがザビ家のような暴走をしだしたから動いたとある。スペースノイドの全体のことを考えるならばアクシズと手を組んででもティターンズを潰さねばなるまい。この矛盾する事象にシャアは苦悩する。
グリプス戦役での赤い彗星の神通力が効かなかった理由は多くある。かつての戦場では「二手三手先を読むものだ」と言っていたがザビ家同様の姑息な手段を使うティターンズの作戦に煮え湯を飲まされ続ける。月にコロニー落としをされる(回避)。毒ガスG3をコロニー内に撒かれる。コロニーレーザーでコロニーを貫通されられる。
スペースノイドは「宇宙人」地球人からして宇宙人は人間ではないから虐殺の対象になり得るという非人道的な作戦ばかり。そんな反地球連邦軍エゥーゴの現場トップのシャアは、もはや二手三手先を読むとか言ってる場合ではない。
そして最終的にシャアの「氣」を奪い取ったのはハマーンとシロッコの台頭である。これでシャアは完全にイニシアチブを奪われてしまった。
グリプス戦役後シャアはアムロと共にまた表舞台から身を隠す。それはシャアの新たな正義を発動する為の隠居活動だった。
シャアは「地球圏の戦争の源である地球に居続ける人々を粛清する!」と宣言してアクシズを地球に落とす行動を取る。
シャアは人類は何も変わっちゃいないのだ。なんて感じで言うが、実はスペースノイドを盾にした正義にいつしか差し替えられているシャアによる偽りの為の正義である。
やられたらやり返す。この一年戦争からの14年間スペースノイドはアースノイドから追いやられ、半ば難民のような苦しい立場に立たされて生きてきた。シャアがスペースノイドの民にこう叫ぶのは、体良く言えば弱い者の味方と見られるかも知れないが、その為に地球に住む人間、人類全てを滅亡させるという行為は悪の側から考える人間の思想である。
シャアの正義はマクロ的と言ったが実は違う側面も見えてくる。それはシャアの公私混同にあるからだ。アクシズを落として地球人類を滅亡させるのは公の民意がある。
しかしナナイに「あのアムロを見返したい為に、今度の作戦を思いついたのでしょう?」と言われ、シャアは「ララァ...私を導いて欲しかった」と漏らしているところに本心を見ることになる。
つまりこの人類滅亡作戦は私的な私怨からきていることをシャア自身が自白していることになる。やはりアムロ憎しなのである。
よってシャアの正義とは何なのか?非常に難しい。
最後に
この二人の生き方に、善悪の判断は遠く及ばない。思想は違えども敵味方として出会ったアムロとシャアはこの世界で一番共に分かり合って互いを理解し合っていたんじゃないか?と思いますね。
Zガンダムのダカール演説後に分かり合えたあの日。
シャアも人類の革新を地球の為に人類をそら(宇宙)にあげるとの思いで動いていた。アムロもまた地球に住む人達も守り、人類はニュータイプへ革新しなければならないと考えていた。
共にまた地球のことを思えども、根本的なズレと譲れない大きな問題がある。シャアは自分があこぎなことをしていることは自覚していただろう。しかし地球はこのままでは連邦の腐ったオールドタイプによって人類は衰退していく。
ならば!
アクシズを地球に落下させ核の冬を訪れさせて、人類を宇宙(そら)に上げてしまおうという究極の選択。
アムロも地球連邦政府は腐敗し続けていることはわかっていた。
しかし!
人類を魂を育てた地球を一人の人間が破壊してしまうことは、それはエゴでしかない!それだけは絶対に許してはいけない!
アムロ「俺たちと一緒に戦った男が、なんで地球潰しを!」
シャア「ならば、いますぐ愚民どもすべてに英知を授けてみせろ!」
最終的にシャアとアムロは人類(シャアはスペースノイド側、アムロはアースノイド側)の正義を持ってして魂の決戦を繰り広げた。
思想は一致しなかったが、結局シャアがアムロに提供したサイコフレームの技術が、アクシズを地球から離れさせて地球を救う奇跡を起こしたのだから、2人は永遠の好敵手であり世界を目覚めさせたのである。それが本当の正義なのかも知れない。
☆最後までお読み頂きましてありがとうございます。