kemoxxxxxの日記

kemo cityからの脱出

機動戦士Zガンダム ハマーン・カーン 4

公開日:2018年6月5日 更新日:2020年4月4日

アクシズが始動、ゼダンの門へと動き出します。一年戦争時の旧ジオン公国軍のザビ家の象徴、最後の要塞「ア・バオア・クー」。それを接収した地球連邦は「ゼダンの門」と名を変え、ティターンズの本拠地となっていた。

そして前回ハマーン様が「ゼダンの門にはアクシズをぶつける!」と言った。


「アクシズ」とは?

またハマーン様の枠を少し借りましょう。

アクシズはその昔、木星航路の寄港地と資源調達のために使われていた小惑星。一年戦争終結後は旧ジオン公国軍残党の集結地となりシャアも身を寄せていた場所である。

また、その後々に「逆襲のシャア」でシャアは連邦へ再び接収されたアクシズを、連邦高官と偽りの和平交渉を締結し旧ジオンの本拠地を手に戻した。

そしてシャアは「アクシズ行け!忌まわしい記憶とともに!」と「逆襲のシャア」でシャアが地球にアクシズ落としますが、これもブライト率いるロンド・ベル隊員達の作戦により成功し、真っ二つに割ることが出来ましたが...


ハマーンとシャアは2回もアクシズを使って都市を破壊する目的に使用した。

ハマーンはゼダンの門にぶつけたが、その後核パルスエンジンを動かしアクシズをグラナダへ落とそうともした。その後、ガンダムZZの第1次ネオ・ジオン抗争では地球へ、マシューマー・セロに指示したダブリンへのコロニー落としも成功させた。

結局この2人のやってること、考えていることは一緒であった。「地球の汚染をよくも考えずに・・・」がシャアの口癖ではあったが、結局はスペースノイドの頂点に立ち、宇宙の民達を導くという大義名分のためにコロニー落としをしまくったのは、一体どう理解したら良いのだろうか?

何故このような争乱になったのか?

人類とは過ちの繰り返しである。始まりは増え過ぎた地球人口の民を宇宙に上げようという、大仕事から始まる。まずは宇宙開拓への道ー。

「スペース・コロニー計画」である。


オニール構想

なんだかハマーンとシャアに苛立ちを覚えずにいられなくなったので、ここから一度現代の話をさせていただきます。オニール構想とは?西暦1969年、当時はアポロ計画全盛時であった。

アメリカ・プリンストン大学の実験物理学教授であった故ジェラード・K・オニールがプリンストン大学1年生相手に学内セミナーを開き、オニールは学生達に

「膨張し続ける技術文明にとって、惑星の表面は相応しい場所であろうか?」という課題を出した。

学生達の多くの答えは驚くべき答えだった。

「相応しくない。人類は宇宙へ進出すべきである」

考えはこうだ。

まず高い軌道をもった宇宙空間に人口建造物を構築し、宇宙コロニーにしようというものである。オニールはこのアイディアに火がつき没頭し始める。そして専門の物理学を活かして宇宙コロニーの実現へ研究し始めた。

しかし5年の歳月が流れても、オニールの宇宙コロニー計画に、まともに耳を傾ける人は現れなかった。

当時の状況をオニールは次のように語った。

『新しいアイディアは、伝統的な考えに挑戦する際に論議を呼ぶものだ。だが、伝統的な考えも時と共に移り変わる。しばしば、あっという間に…(中略)...論文も発表出来ずフラストレーションのたまる時期が何年も続いた』(フィジックス・トゥデイ誌より)

だがある日、1974年オニールを中心とする小さな会合に「ニューヨーク・タイムズ」の記者が取材に来た。その記者はオニールの宇宙コロニー構想に感銘を受け、「宇宙コロニー」の記事が新聞一面を飾ることとなった。

その後、1974年9月「フィジックス・トゥデイ」誌に発表された「宇宙の植民化」、「ネイチャー」誌、「サイエンス」誌への論文、さらにはその内容を単行本にした“ハイフロンティア”の発表によってスペース・コロニー構想はアメリカ中へと広まった。


オニールの基本理念

  1. 我々は宇宙を植民化できる。それも誰からも奪うことなく、傷つけることもなく何も汚染せずに。

  2. すぐに取りかかれば、ほとんど全ての工業活動は地球の 華奢 (きゃしゃ)(繊細で弱々しくみえること) な生命圏から100年以内にコロニーへ移すことが出来る。

  3. 人々と工業の宇宙への移転は否応無しに自己充足、小さな政府、文化の多様性、そして高いレベルへの独立へとつながるだろう。

  4. 新しきフロンティアにおける人類の究極の人口限界は最低でも現在の値の2万倍と見積もられる。

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オニールは高らかに宇宙への夢を語っていた。

「機動戦士ガンダム」は1979年から放送が開始されたので、これはいち早くオニール構想を富野由悠季監督が映像化した画期的な作品といえるだろう。

また「機動戦士ガンダム」の中で描かれるスペースコロニーはオニールの構想を、ほぼそのまま採用しておりかなり詳細な設定がなされている。地球はいつか人類の生存に適さなくなり、やがて宇宙へと移住しなければならないという考え方自体は、新鮮なものでは無かった。

しかし、その多くの科学者達の考え方は月や火星などを他の惑星に都市を建設するというものであった。 オニールはそのような考えを「惑星愛主義」として批判した。

惑星という概念から離れ、第2の故郷としての居住空間をゼロから建設してしまおうという考え方は、前世紀末からの新しいアイデアといえるだろう。

まずコロニー建設の資材は月や小惑星から得ると考えた。あと宇宙空間には太陽エネルギーが熱や電気の供給源として使用出来て、そこから有用な金属やケイ素が取り出せる訳だ。

問題が「水」である。月には水素・窒素・炭素は無く、生物には絶対必要である。そこでオニールは小惑星帯の岩石を利用しようと考えた。

まずは地球から資源を運び宇宙へと往復し、イチから築いていくしかないので、現代の宇宙輸送システムよりもっと低コストの費用の掛からない宇宙船の開発が真っ先に必要とならなければ実現性に乏しい。

その次には重力の問題もある。

人間は1Gの状態で生活しなければあらゆる面で支障が起きる。筋肉や骨である。

これは「機動戦士ガンダム」でもあるように円筒型のコロニーを回転させ、遠心分離の状態によりコロニーの外側に重力がかかるように1Gに近づける工夫をすることだ。

そして実際に人間はスペース・コロニーや火星基地、完全密封型の空間で生きていけるのか?という実験を始めた。

世界から注目されたアメリカ南西部、アリゾナの砂漠にガラス張りの建築物「バイオスフィア2」プロジェクトを試みた。実業家で社会奉仕に熱心なエドワード・バズ氏が約200億円出資して1980年代に建設された。

この内部には熱帯雨林、草原、砂漠などミニチュア化された地球環境を用意する。そして植物、動物、人間の男女8名がこの密封空間で生活する実験だ。

バイオスフィア(生命圏学=biospherics)1とは我々の生命圏(地球)を指し、バイオスフィア2とは人類第2の生命圏(スペースコロニー)と名付けたのであった。

結果から言うと失敗したことになる。

食糧が生産されないのと、二酸化炭素を減らすことが出来ないのが致命的な問題だった。それと実験参加者にとっての最大の問題は、心理学的な問題だった。閉塞的な環境で2年間も閉じ込められるという、人間関係面でも信頼関係が崩れ、2派に別れてしまったという。

このバイオスフィア2は別のクルーに引き継がれ、1994年にも同様な実験を行ったが、成果は得られなかった。我々人類生態系は様々な目に見えない関わりをもって成り立っている。その関わりについてまだ人類は理解するには程遠いといったレベルであるだろう。

しかしあれからまた歳月が過ぎ、現代は2020年である。人類が宇宙の地を求める時代がまたすぐやってくるかもしれないのだ!

人類の英智に期待しよう。


ガルマ=カルマ

やっと気分が落ち着いたので、宇宙世紀に話しを戻します。

エネルギー開発には核融合炉にヘリウム3を使用するため、木星船団を再編させ開発事業を発足させる。

宇宙世紀の3大組織である木星開発事業団、コロニー公社や宇宙移民局などは人類の死活を握っている訳だから政治的にも不可侵とされていた。

その木星への中継地点に月、小惑星などが作られた。 初の月面都市が作られた。「フォン・ブラウン市」である。

仮にコロニーでの生活は現実的かも知れないが、月の恒久都市となると重力は一体どういう設定だったのだろうか?

まさに、それでニュータイプに変異するとか?

コロニー公社により「サイド」と名付けたコロニーが続々と作られ、人類の総人口の半分が宇宙に住むようになり、宇宙に住む人々スペースノイド達は改めて「母なる地球へ想う大地の大切さ」を認識し、地球を聖地と考え、生命の誕生の場所という考え方エレニズム(地球は聖地として保護し、人類は宇宙に住むべきだという思想)がコロニーの人々に広まった。

地球連邦政府の宇宙への移民政策の必要性とは、「もはや地球には90億人もの人類を養う力はなく、人口爆発による環境悪化から限界に達していた」という大義名分の元にあったのだが、真相は増えすぎた大衆を宇宙へ追いやり、特権階級のエリートのみが地球で暮らす方向へと歪み始めていた。

政治家として有能だったシャアの父ジオン・ズム・ダイクンはU.C.0046にジオン・ダイクン「コントリズム」を提唱し、連邦政府の政策を批判し始めた。

「コントリズム」とは「サイド単位」を国家として考えられた。

エレニズムとコントリズム思想は宇宙移民者たちが、地球の者達から植民地的扱いを受けていた為、その2つの思想はやがて不満として融合し、宇宙の民達はジオン・ズム・ダイクンを救世主として尊敬するようになる。

そして時にU.C.0052にサイド3をコントリズムを実践するとして、ジオン・ズム・ダイクンはサイド3へ渡り、ダイクンの長年の工作が結び自給自足での生活が可能になり、地球連邦政府に対してサイド3独立宣言し、国防隊も発足した。

その間地球連邦とサイド3の軋轢は増し、スペースノイド達はサイド3に集結し、資源や経済的に圧倒的不利な状態であっても技術者達の志しは高く、新たな斬新な技術を次々と開発生産していくのであった。

またサイド3の実権を握ろうと画策する者がいた。デギン・ソド・ザビである。デギンから見てジオン・ダイクンのやり方では、まだ国家として独立するには甘いと見ていたのだった。

ジオン共和国の父ジオン・ズム・ダイクンの子はキャスバル・ズム・ダイクン(シャア・アズナブル)としてU.C.0059に誕生した。

しかしその父ダイクンはU.C.0068にザビ家に暗殺される事となる。

父ジオンの腹心であるジンバ・ラルによって兄キャスバル(シャア)妹アルティシア(セイラ)は地球へ逃がされ生き延びることができた。

ジオン公国独立国家を宣言したザビ家の父、デギン・ソド・ザビはジオニズムを展開し、地球連邦政府対して宣戦布告をする。

その一年戦争で一番先に失ったザビ家の三男ガルマ。


すごい因果じゃないですか!

因果(カルマ)だけにガルマ・ザビ...か。

父デギン公が一番愛し、期待を寄せた息子。そのガルマはシャアが謀殺した。憎しみは憎しみを、悲しみは哀しみを増幅増大させ、因果(カルマ)は代々引き継がれることになると言うことを、我々はガンダムを通じて教えられている。


カルマを作ったのはザビ家への憎しみを復讐として変えてしまったシャア自身にあった!のでは?

妹キシリアは兄ギレンを殺し、キシリアはア・バオア・クーからグラナダへ逃げる直前にザンジバルへ乗り込むが、シャアのロケットランチャーがキシリアの頭部を貫いた。

そして因縁はさらに膨らむ。元ジオン公国デギン公王のザビ家の高官マハラジャ・カーンの娘、ハマーン・カーンである。ザビ家の次男ドズル・ザビの子、幼い娘ミネバ・ザビは一年戦争を生き残りアクシズで育つことになる。

ザビ家の血統を絶とうと思えば出来たはずなのに、何故シャアはミネバを生かしておいたのか?

シャアからすればザビ家を復興させようとする、ハマーン・カーンの意志をまた許せずにクワトロ・バジーナとして戦う。

もはや目的はザビ家への復讐では無く、自分で演説を行った「ダカールの演説」で本人が気づいてしまったのだ。エゥーゴには居られないと。自分の使命は地球の重力に魂を引かれた人類、宇宙へ追いやった特権階級のエリート達へ鉄槌を下す事。

それはもうシャア自身の野心と正義という名の元によるエゴそのものでしかない。

だからあのコロニーレーザーグリプス2の劇場跡での会話、ハマーンとシロッコは見事にいい所を突いている。

クワトロ「私が冷静でないだと?」

シロッコ「そうだよ、貴様はその手に世界を欲しがっている」

ハマーン「シロッコの言う通りだろう?シャア。ならばザビ家再興に手を貸せばいい。その上で世界のことを共に考えよう」

シロッコの問いに即答出来ていないシャア。もうこの時、シャアの腹の中は決まっていたに違いない!


グリプス戦役でクワトロ大尉行方不明・・・

シャアはミネバを匿った。第1次ネオ・ジオン抗争後、ミネバは影武者だった事が分かる。何故ミネバを大切にしていた?何故?何故?

「逆襲のシャア」のシャアの「サザビー」。MSの名前がね、ザビ家から来ているとしか思いようがない。

Sir!Zabi!(サー!ザビ!)にしか思えないんですよ、私はね。

しかも本当にアムロにモビルスーツ戦で簡単に勝ちたいのなら、サイコフレームの技術を何故自らリークしたのか?

リ・ガズィのアムロに勝ったところでは面白くない。ならば同等(サザビーとνガンダム)の立場でアムロに勝ちたい。分かりますけど、無理ですよ。シャア様。

「シャアの心の中が読めませーん!」

「ララァ・スンは私の母になってくれるかもしれなかった女性だ!」ってそりゃ、みんな嫌がりますよ。ハマーン様もレコアもナナイもクェスも。


結局「私はあなた(シャア)に振り回されただけなんだわ!」って思っていた「ハマーン様」のお気持ちお察し致します。


第45話「天から来るもの」

ティターンズ艦隊はエゥーゴと交戦しながらも、ゼダン門を黙らせる為にギリギリまで奮闘したが、ゼダンの門はアクシズと衝突し、宇宙の藻屑となり塵となって漂うことになりました(どんだけ頑強なんだアクシズは)。

大きな拠点を失ったティターンズをさらに追い込み、この状況を打開すべくメラニー・ヒュー・カーバイン会長は、ハマーンと直接交渉することになった。

次回へつづく。

※参考文献「the colonization of space 」Gerard K. O'Neill, Physics Today, 27(9).32(1974)「Space Colonies :The High Frontier」Gerard K. O'Neill,The Futurist,Feb.1976.25(1976) 「Space Colonies and Energy Supply to the Earth」Gerard K.O'Neill,Science 190.943(1975)「The High Frontier:3rd edition」Gerard K'ONeill(Apogee Books)「G・K・オニールのスペースコロニー計画」江藤巌、「ガンダム センチュリー・リニューアルバージョン」(樹想社)所収

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