kemoxxxxxの日記

kemo cityからの脱出

機動戦士ガンダム ポケットの中の戦争・3

☆だいぶ間が空きましたが前回からの続きです。

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この中立コロニー、リボーコロニーでのジオンと連邦の戦いにおける正義はどちらも変わらないんです。ラストは涙が止まらないエンディングで言葉が詰まってしまう、サイクロプス隊と少年アルの小さな戦いが感動を呼ぶ『ポケットの中の戦争』というガンダムのストーリーであります。


サイクロプス隊最後の戦い・ルビコン作戦

僅か4人でケンプファーを組み上げた、シュタイナー大佐率いる、ミハイル、ガルシア、バーニィ、サイクロプス隊はガンダム破壊、奪取「ルビコン作戦」を発動させて、ついに行動に出るのだった。

陽動にミハイルがMSケンプファーでコロニー内を暴れまわり、ガンダムをおびき出す。しかしケンプファー1機で勝ち目はあるのか?

シュタイナー大佐以下は連邦軍服を着て連邦のガンダム工場の中枢へと潜入する。

時は戦争終結まであと少し。リボーコロニーでのスパイとして潜入していたチャーリーとの会話であったように「ジオンは負けるな・・・」と言ったシュタイナーもチャーリーと共にこの戦争の結末はわかっていた。

しかし軍人たるもの使命は果たさねばなりません、プライドがあります。

たとえ無駄な作戦だとしても、僅か少数精鋭の数名だけだったとしても、ジオンの軍人として強大な組織・連邦軍に屈することはできんのです。犬死にだったとしても、それが軍人としての大義なのです。

早速、リボーコロニーで暴れ回るミハイルのケンプファー。突然現れたジオンのMSにグレイファントムが発進し、スカーレット隊が出撃するもミーシャの手により次々と撃墜されてしまう。

さすが、ジオン一点物モビルスーツ・ケンプファーの力を見せつける。

一方、連邦軍基地へ連邦の制服で潜入したシュタイナー大佐らはガンダム・アレックスに近づくも、バーニィへ連邦兵士からの「おたく、訛りあるけどどこの出身だ?オーストラリア辺りの出か?」の質問に、バーニィは「そう、シドニー生まれの、シドニー育ちだ。最高だね、今街は雪で真っ白だろうな」と答えてしまう。

しかし連邦兵士は「おい!シドニー生まれ!オーストラリアは今夏だぞ!」と素性がバレてしまい、3人対連邦兵士らと交戦になる。

多勢に無勢で勝てるはずも無く、シュタイナーは撃たれ倒れて「バーニィ、死ぬなよ!」と言ったガルシアもアレックスへあと1歩と駆け上がった時に無念にも命を落とした。

一人生き残ったバーニィはシュタイナー大佐を抱えて逃げる。

アレックスに搭乗してケンプファーを迎え撃ったクリスは、ケンプファーに対してガトリングガンでズタズタに撃ち抜きコックピットのミーシャの息の根を止めた。クリスはノーマルタイプでテストパイロット、一方ミーシャは歴戦のジオンパイロット。ミーシャに分があったはずだが、アレックスはアムロのために作られたニュータイプ専用機。

しかもフルアーマーで登場したアレックス、さらにガンダムの装甲の厚さに、ケンプファーの武器の火力では勝てなかったのだろう。

一方意識が遠のくシュタイナーはバーニィに聞く「あいつは…ガンダムはどうなった?」と。

しかし大佐にバーニィはガンダムはミーシャが倒したと嘘をつく。

シュタイナーは「バーニィ…嘘が下手だな、うっ!」と命を引き取った。

一人生き残ったバーニィは為す術もなく、チャーリーの元へと行くが、チャーリーにガンダムを倒せなければグラナダの艦隊が来てコロニーに核を落とすという話を聞く。

そして「とにかく逃げるんだ!逃げて生き延びるんだ!」とチャーリーに言われる。

アルにその事を告げ「自分はコロニーを脱出する」と伝える。

バーニィ「俺の話を聞け。あと3日クリスマスの晩までにガンダムを始末出来ない時はグラナダの艦隊が来る。核爆弾を使ってコロニーごとぶっ壊す作戦なんだ!このコロニーは確実に破壊される。もうどうにもならん、お前もここを離れるんだ。母さんと旅行に行くとか…」

アル「でもクリスマスまでにアイツを倒しちゃえばいいんだろ?」

アルはあの公園に落ちたザクⅡ改を修理してガンダムを倒せばいいんじゃないか!と言うが、バーニィは出来るわけないだろ!と二人は言い合う。

すると、アルはサイクロプス隊の全てをバラすとまで言い出し警察署へ走る。バーニィは港へ行き、チケットを購入、発着まで空港のカウンターで酒を飲みながらこのコロニーの住人のことやサイクロプス隊、アルやクリスのことまで色々と考えたのだろう。

カウンターで酔っ払い愚痴る女性を見てバーニィは決意する。

アイツ(ガンダム)を倒してやる!と。

それからのバーニィの行動は早かった。アルに必要なものを集め、共に部品を集めてザクⅡ改を修理していく。

そんなに損傷していなかったのが不思議なくらいにどんどんと直っていくザク。それはリボーコロニーを救うための希望のモビルスーツ。

ガンダムを倒せば自分達のコロニーが救われる。

それがザクⅡ改だった。

ザクが完成した間際、アルとバーニィは二人でザクと最後のコロニーでの空を見上げた。


バーニィが最後に残したものとは?

逃げれば逃げられるのに逃げなかったバーニィ。

その胸中は如何に。

男として、ジオンの兵士、軍人としてのプライドか?もしくはアルに対して大人は嘘つきではないと言わせたかったからか?またクリス・マッケンジーに対する恋心からか?

シュタイナー大佐以下、ミハイル、ガルシアに対しての弔い合戦の意気込みだったのか?

ザクが直ったと言えども、所詮ザクであり相手はガンダム・アレックスである。勝ち目は無いに等しい。しかしコロニー内でザクを駆けるバーニィ。バーニィには森の中で仕掛けを作り、ガンダムに対して奇襲をかけて応戦する作戦があった。

バーニィはまだ一機もモビルスーツを墜としたこともない。相手はクリス。ケンプファーを撃破し技量もクリスの方が上だ。クリスもコロニー内に現れたザクを迎えるため出撃する。

アルを通じて知り合った2人はお互いに好印象を持った。しかしバーニィはガンダムのパイロットがクリスだと知らないし、クリスもザクのパイロットはバーニィだとは知らずに戦うことになる。

互いに傷つけ合いながら、どちらも譲らず戦闘は続いた。

しかしこの戦い、一番の場面はアルがクリスとバーニィの戦いを避けることにあった。それはクリスはサイクロプス隊の存在も知らないこともあったし、バーニィもガンダムのパイロットだとは知っていたら、絶対に戦わなかっただろうに。

さらにグラナダの艦隊は一部沈められ、連邦に降伏したジオンの艦には核を積んでいたことをアルは父から知る。アルは、戦いを始めたバーニィに伝えに走る。

アル「バーニィ!もう戦わなくていいんだ!バーニィ!」

しかしそれはもう遅すぎた…気がつけばバーニィのザクⅡ改は、アレックスを森の中から平地へと…やがて直接対決の時がやって来た。

そしてそれはアルの目の前で起きる。

刺し違えるかに思えたバーニィの渾身に振り落としたヒートホークはガンダムのヘッドを切り落とす。

しかし、アレックスのビームサーベルがザクⅡ改のコックピットを直撃貫通した。

アレックスのコックピットから救出された、クリスを見て呆然とするアルフレッド。

バーニィが残したビデオを再生するアル。

バーニィ「アル、いいかい?よく聞いてくれ。この包みの中には俺の証言を収めたテープや証拠の品が入っている。このコロニーが核ミサイルの標的になった訳を知る限りを喋った。もし俺が死んだらこれを警察に届けてくれ。大人が本当だと知ってくれたら、このコロニーは救われると思う。俺が直接警察に自首しようとも思ったんだが…何て言うか、そうするのは逃げるみたいに思えて…ここで戦うのを止めると自分が自分でなくなるような…」

バーニィ「連邦が憎いとか、隊長たちの敵を討ちたいとか言うんじゃないんだ。上手く言えないけど、アイツと…ガンダムと戦ってみたくなったんだ。俺が兵士だからなのか理由は自分でもよく分からない。アル、俺は多分死ぬだろうが。そのことで連邦軍の兵士やガンダムのパイロットを恨んだりしないでくれ。彼らだって、俺と同じで自分がやるべきだと思ったことをやってるだけなんだ。無理かもしれないけど他人を恨んだり自分のことを責めたりしないでくれ。これは俺の最後の頼みだ」

バーニィ「もし運良く生き延びて戦争が終わったらさ、必ずこのコロニーに帰ってくるよ。会いに来る。約束だ。これでお別れだ。じゃあなアル、元気で暮らせよ!クリスによろしくな!」

学校へ登校したアルはグラウンドで全校集会が行われ、校長先生の話を聞く。

校長「.......私達は校舎を失っただけでなく、幾人もの親や兄弟、友人を失ったのです。この平和はまことに多くの犠牲の上に勝ち取られたものです。君達にはその事を忘れないで欲しいと思います」

その犠牲者の中にはバーニィが、サイクロプス隊のメンバーがいた。特にバーニィの死はアルにとって心の傷として残ったことだっただろう。

そしてバーニィを倒してしまった、ガンダムのパイロットがクリスだったことも。スクールの少年にとって衝撃的過ぎる出来事だった。

するとアルは泣き出してしまった。

自分がバーニィに「あいつ(ガンダム)を倒すんだ!」と言わなかったら?

あそこまでバーニィに「嘘つき!」なんて言わなかったら?

自分がバーニィを止めることが出来たなら?

でも最後まで諦めずに戦ったバーニィの兵士としての勇気と、ジオンのザクのパイロットとしてバーニィを尊敬し、実の兄弟のように過ごした少ない日々。アルフレッドは、ジオンの階級章、サイクロプス隊「特務隊」のバッチをつけた。

この後少年から大人へとなったアルフレッドは著者として「ポケットの中の戦争」を語る。

1999年発売DVD版の中でのCMでアルフレッドの語り。OVAから数えると設定ではアルが21歳の時だ。

この頃僕は思い出す。初めてザクを見た日のことを。止められなかった戦いのことを… バーニィ、忘れないよ…


次に2017年発売BluRay版でのCMでアルフレッドの語り。共にあの時12歳のアルの声優役浪川大輔氏が、再び声変わりした形と大人のアルとなり登場した。

今でもたまに夢に見る。『運命』は信じないけど、悲しい事ばかりじゃなかった… バーニィ、忘れてないよ…


昨日も戦争のことを書いたが、なんともやりきれない。人と人との殺し合いの先には…ほとんとが悲しみしか残らない。

ガンダムシリーズで戦争を経験した少年達のほとんどが、モビルスーツのパイロットとして戦争に参加、または参加させられることを余儀なくされていくが、アルフレッド・イズルハだけは違っていた。

大人になってアルフレッドが語った「ポケットの中の戦争」、戦争から彼は何かを学び、戦闘員として軍人・兵士にならなかった唯一の主人公だった。

「他人を恨んだり自分のことを責めたりしないでくれ」バーニィの最後の言葉。それが救いであり、バーニィが残したものなのかも知れない。

最後までお読みいただきましてありがとうございます。