☆この物語はすべてフィクションであり、登場人物団体等の名称は架空のもので実在のものとはなんら関係ありません。
<登場人物>
<店長>猪田
<主任>坂下
<班長>湯川、大場、下岡、河東
<男性従業員>
<女性従業員>
─ 河東班長決定
【河東の話】
湯川と2階スロットフロアの金集めだ。
湯川「業務連絡です、2階担当河東係員〇〇コーナーお回りください」
俺「了解しました」
大場も嫌だけど、湯川は主任バージョン。
主任バージョンとは??一台一台の台間サンドから千円札を取ったら毎回手渡ししてくる。俺はそれを毎度受け取りドル箱に詰めていく。
機嫌が悪い時はわざと受け取りにくいように札を渡してくる。湯川の場合は千円札の受け取りが失敗してその場で札がばらまかれた時もある。全く意地が悪い。
大場班長はサンドから千円札を取ったら自分である程度持って、手元に貯まったら俺(担当)に渡してくる。その方がやりやすいし、早い。
千円札は一枚でも無くしたらおおごとになるから、慎重に扱う。
金集めで担当が一人取られるわけだから、残った数少ない従業員達はホールの呼び出しランプ(ホッパーメダル補給)に呼ばれる。2階スロットフロアは約1,000台。それを最悪の場合1人の従業員が見ることになる。
多い時でも担当を入れて4人。
新台入替、その後の営業なんかはスロットフロアがしばらく満員御礼になるから、両替機が一気に千円札切れエラーでストップする。
その度にインカムで班長を呼ぶ。
従業員「業務連絡します。当店班長中央通路5番両替機硬貨切れで中止です。お願いします」
班長「了解しました」
両替機は沢山あるんだが、中央通路に500円玉千円札両替機が1台、千円札専用両替機が5台。カウンター側通路に500円玉千円札両替機が1台、千円札専用両替機2台。事務所側通路に500円玉千円札両替機が1台、千円札専用両替機が2台。
本当にホールがえらいこと(大変な状況)になっていると、班長や主任は1人で金集めをする。基本的に1人で金集めはやってはいけないことになっているが…。仕方ないのだろう。
千円札切れだからサンドから集めた千円札をそのまま千円札専用両替機に補給すればエラーは解除されるのだが、500円玉千円札両替機がくせものでこの両替機はパチンコ両替機と呼ばれ、千円札専用両替機より巨大であり、パチンコとスロットと売り上げ金は混ぜては行けないことになっている。
だからサンドから集めた千円札のドル箱(2段積み3段積みを担当が持つ)をそのまま事務所に持ち込み計数する。100枚の束を作ったら輪ゴムでとめていく。
俺たち担当はその班長の姿を黙ってみている。これが結構時間がかかるんだな。輪ゴムで止めた千円札を今度は各両替機に補給する。それもパチンコ両替機とは必ず分けて。
班長は手ぶらでいいけど、お札の束って重いんだよ。札束入ったドル箱を落としたドジな担当もいたようで。
─ さて、俺が湯川といつになく急がせながら金集めをしてた訳だが…
事務所へ千円札と万券、五千券を計数しに行った。
湯川は相変わらず機嫌が悪い。なんでこんな性格なんだ?コイツは。いつものように全サンドと両替機から集めた金が詰まったドル箱は3段重ね。
もうね、お金って感覚ないんだな。
粛々と作業のように進められていくんで。
金額にしたらとんでもない額ですわ、マジで。
コンコン...
湯川「失礼します、ご苦労さまです」(小声)
俺「失礼します!店長おはようございます!ご苦労さまです!」(大声)
主任「はーい、ごくろうさん」
店長「あい」
いつもの計数機に向かい、湯川が万券から載せて100枚束を輪ゴムで作っていく。そして、五千券、千円札...千円札が一番多いからね。
その間の沈黙を破ったのが、店長。
店長「おい!河東君、班長やらしてやる」
(は?) (なに、やらしてやるって…)
しかし、俺、即答!
俺「はい!ありがとうございます!やります!」(これが後々大変な事態になるとは思いもよらなかった)
店長「そんな難しいことねえからな、ただしっかり仕事を覚えろよ!今までの従業員の仕事内容と違うからな。わからないことがあれば何でも俺にでもよ、主任でもいいから気軽によ、聞いてくれ。わからないまま仕事するなよ、絶対。あと湯川班長や大場班長から詳しくやること教えてもらえると思うからよ」
俺「あ、は、は、はい!が、が、頑張ります!」
店長「お前硬いよ、もっと肩の力落とせよ、なあ湯川班長?」
湯川「はい、そうですよね」
主任「河東くん、そんな緊張しなくていいから~楽に楽にすれって~」
店長「かつ!(主任の下の名前」)お前が言うな!そんなこと教えたらだめだべ!班長は金扱うからな緊張感もってしなきゃだめだからな!」
(なに。俺、こいつらにいじられてる?)
そうして金の計数が終わり、ドル箱に詰めた札束を重ね持って事務所を退室する。
湯川「失礼します」
俺「失礼します!」
店長「おう!」
主任「はい」
事務所側の裏階段室から2階に上がる。
湯川「河東!良かったな!班長昇格だ」
俺「はい!嬉しっす、でも不安ですよ」
湯川「お前なら大丈夫だべ、何しろ次の班長お前を推したの、俺だから」
俺「マジっすか!?ありがとうございます!」
湯川「早速色々教えてやるからよ、なるべく早く覚えろよ」
俺「わかりました」
湯川「あと同じ班長なんだから上下関係とかないからな」(後々の嘘、大嘘)
班長の仕事は大体聞いてるし、やる事が沢山ある。だけどあの白いワイシャツにネクタイでホールを回って見たかったのだ。能力不足なのに受けてしまった班長職。
かなり不安だ。こんな時はブロンを多めに飲まないと無理だ!精神が持たない!
休憩時間にロッカー室へ行ってブロンの瓶を取り出し、汚れた手の上に糖衣錠を30錠ほど出す。 そして、それを一気に飲み込み、2ℓ入りのアクエリアスで流しこんだ。
俺がブロンを飲んでいるのは知らない奴は知らない。でも何飲もうが俺の勝手だ。別にアルコール飲んで酔っ払って仕事してるわけじゃない。しかも合法だし。
しばらくするとブロンの効果が発揮してきて、多弁になった。スタッフルームを出た俺は勇んでホール巡回に入る。
俺「業務連絡します、2階ホール河東戻りました」
従業員「了解しましたー」
従業員「了解いたしました。」
俺「業務連絡します、2階〇〇コーナージュースの空き缶など、ゴミが多いのでしっかり空き台清掃行って下さい、あとゴトの方きっちりお客さんの手元見て巡回お願いします」
従業員「了解しました」
以下同じ...
辞令がくるのが楽しみである。頑張るぞー!!
☆最後までお読みいただきましてありがとうございます。