横山光輝三国志 諸葛亮 孔明 13
前回
続き。
「陳倉攻め·前半」諸葛亮の苦戦が始まる。
翌日 孔明は総攻撃の命を下した。
蜀軍は城の堀を埋め、衝車と雲梯を押し出し今度の今度こそと言わんばかりに、多くの兵器を用意していたのだった。
衝車とは?
下に馬が入り、上の箱に兵士が乗って矢を射る兵車のこと。
雲梯とは?
城壁に駆け上がっていく梯子車のこと。
孔明は数々の最新兵器を考案してきた。
それはアイディアもさることながら、優秀な兵器である。
魏軍もその兵器に驚かざるを得なかった。
さすが物作りの天才であった。
しかし蜀軍は諸葛亮の指揮で一斉に攻撃を仕掛けるが、
郝昭の対策で衝車も雲梯も完全破壊させられた。
これでは攻めようが無い。
蜀将「孔明将軍 味方の被害は甚大でございます。衝車も雲梯も大半が焼き払われました。」
孔明「この城で戸惑っていれば、そのうち魏の援軍が到着するとなるとますますこの城を落とすことは困難となる。それまでに落城させねば。」
孔明は作戦を変える。
孔明「よし、城壁より高い井闌を組め、そこから城兵を射るのじゃ」
井闌とは城壁上の敵を攻撃する為の兵器で、移動式のやぐら。
魏将「将軍 敵は今度は井闌を持ち出しました」
郝昭「井闌とて木でできたもの火で充分防げる」
郝昭の作戦通りに諸葛亮の作戦は失敗に終わり、
井闌は燃え尽きた。
流石名将郝昭である。城の守りは堅い。
孔明の次なる作戦は城内まで坑道を掘って侵入しよう、というものだった。
その情報を受け、郝昭はまたも諸葛亮に対抗する対策を講じる。
それは魏軍も城壁に沿って堀を掘れという指令である。
そこに水をためておき、敵が穴を開けたら、その坑道に水が流れこむ。蜀軍はひとたまりもない。
案の定、蜀軍はこの作戦も失敗した。
蜀軍が陳倉城を取り囲んで はや二十日になる。だが陳倉城はゆるぎもしなかった。
孔明がこれほど頭を悩ませた城攻めは前後になかった。
そのうち魏軍の先鋒隊が到達。
将は王双。兵は二万である。
諸葛亮は謝雄とキョウ起に三千騎を持たせ、敵の先鋒隊の足止めを命じる。
諸葛亮は援軍が来たとならば城兵も打って出る可能性もあると考え、万一に備え二十里後退した。
さて、謝雄らだが。
蜀兵「謝雄様 あれが魏の先鋒隊です」
しかし……
続いてキョウ起もあっさり討ち取られる。
これが猛将王双の力である。
その報告を受けた諸葛亮は考える。
しかし……
張嶷が王双に一騎打ちを仕掛けるが、
結局、王双には歯が立たず。
蜀軍はまた引くことになる。
蜀将二人を討ち、今また張嶷を負傷させた魏兵は勢いに乗り当たるものなき勢いで攻め寄せた。
再び報告を受けた諸葛亮は悩む。
王双軍は城外に布陣を敷き、城内と烽火をあげて連絡を取り合っていた。
そうなれば城兵はますます意気盛んとなること。
諸葛亮は自身で敵の布陣を確かめることに。
孔明「城に力をそそげば、彼らが打って出てこようし、彼らに力をそそげば城から打って出てくる。といってにらみあっていては本隊の大軍団が到着する……」
なかなか孔明がこんなにも苦戦するのは珍しい。
蜀将の層の薄さも原因の一つ。
こんなのでは北伐など無理の無理である。
そして、姜維がいる。
魏延は蜀きっての猛将である。
対して姜維はまだまだ発展途中の若武者。
孔明「気は晴らしたい。だがこの陳倉城ひとつのために北伐が阻止されたとあらば気も重くなろう」
姜維「この陳倉城にこだわりすぎるのではありませぬか」
孔明「なにっ!そなた何か意見があるとみえるな言うてみい」
姜維「はい。それがしはかかる時は【離】ということが大事ではないかと考えまする」
孔明「【離】」
姜維「陳倉城ひとつにこだわっていることこそ敵の思うつぼにはまっているのではございますまいか」
孔明「ア……そうじゃ【離】だ、【離】こそ大事であった。魏延 王平 李恢 を呼べ」
兵士「はっ」
孔明「姜維よ、よく目を開いてくれた。わしは一つの城を落とすのに、これだけ手間取ったことは今までなかった。少し意固地になっていたようじゃ」
姜維「お役に立てればなによりでございます」
孔明「魏延 そちは陳倉の谷に堅陣を張り、陳倉の口をおさえてくれ。王平 李恢 そち達は街亭よりの路を守り 街亭からの攻撃を防いでくれ。わしは本隊を離れ、再び祁山に出向く」
かくして孔明はよる密かに、馬岱 関興 張苞 などの大軍を引き連れて、遠く 山また山の間道を通り斜谷を越えて祁山に向かった。
それにしても姜維は蜀の宝である。
知勇兼ね備えた武将であった。
もっと早くに登場していれば……
姜維の助言した、孔明のさらなる作戦は果たして成功するのであろうか?
続く……
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