ライスシャワー

挙式の時に行う儀式。

新郎新婦にお米をパーっとばら撒く。

ライスシャワー

父 リアルシャダイ

母 ライラックポイント

北海道のユートピア牧場で産まれた。

ライスシャワーから始まり、ライスシャワーで終えた、俺の熱烈競馬時代1993年。

ライスシャワーが京都の淀で亡くなったあの日から競馬は一切していない。

競馬はギャンブルではなく、サラブレッド達の騎手達のそれぞれのドラマを感じながら馬券を買っていたあの日。

ライスシャワーはそれほど俺を惹きつけたサラブレッドだった。

ギャンブル狂の俺、パチンコパチスロ麻雀で負けて、他にギャンブルは無いか？

と見つけたのが、競馬。

買い方も知らずに先輩に連れて行ってもらった、京都競馬場。

ライスシャワーにビビッと来たのは、

平成5年4月25日第107回天皇賞(春)。

メジロマックイーンは本馬場入場から、チャカチャカとしており枠入りを嫌がる、観客は騒然となる。これは何かあるな、と。

当時無敵だった武豊メジロマックイーンを驚異の末脚で差し切って勝ったレース。レコード勝ち！

これを見てライスシャワーの虜になった。

小柄ながらも筋肉質で、黒鹿毛で黒く光る馬体。

首を鶴のように曲げ、トントンとパドックをリズミカルに歩む姿も、

また此れ立派！

ライスシャワーはミホノブルボンの三冠も阻止した。

メジロマックイーンの天皇賞(春)三連覇も阻止した。

正にその名は関東の刺客。

天皇賞(春)、ビギナーズラックでライスシャワーの単勝を的中した後、ライスシャワーをその後も追い続けた。

しかし、彼は天皇賞(春)後しばらく勝つ事が出来なかった、そして俺も負け続けた。

彼の勝ち方としては先行しながら、3コーナー、4コーナーで先頭を奪い、最後の直線で後方を引き離す。それが出来ない。

でもライスシャワーを応援し続けた。

絶対またGⅠを勝ってくれる！復活してくれると。

ライスシャワーは、リアルシャダイのステイヤーの血筋を引く良血馬。

短距離レースより長距離レースの方が俺は好きだった。

しかし、時代はスプリンターが中心でステイヤーは競走馬としてあんまり需要と人気がなかった。

4歳クラシックに遡る。

ミホノブルボンは皐月賞とダービーを楽々と圧巻の走りで2冠を制す。

しかしライスシャワーは皐月賞、ダービーと徐々にミホノブルボンとの差を徐々に詰めていた。

誰もがミホノブルボンの三冠を期待したのだろう、最後のクラシック菊花賞は、圧倒的一番人気。

ところがレースが始まると、逃げを宣言していた、キョウエイボーガンにやられる。

ミホノブルボンはキョウエイボーガンに釣られ、掛かった状態に。

ifがあれば、いつものように単独でハナを切って走っていれば？

ミホノブルボンが勝ってたかも知れない。のちに鞍上小島貞騎手は言った。

ミホノブルボンは菊花賞を二着の後に屈腱炎を発症し、以後ターフに姿を現わすことはなく、事実上4歳馬最強はライスシャワーの手に。

騎手的場も俺のお気に入りのジョッキー。

次のターゲットはジャパンカップを優勝の2冠馬、

トウカイテイオー。

しかし大波乱、メジロパーマーが大逃げを打って勝った。トウカイテイオーも馬群に沈んだ。

年が明けて目黒記念はマチカネタンホイザの2着に終わった。

そして天皇賞春に向け日経賞、ライスシャワーは好調の走りで先行、4コーナーに先頭に立った。そして勝つ！

やった！

天皇賞春、先に挙げたようにメジロマックイーンに打ち勝つ。

連勝ストッパーライスシャワー。

的場騎手は4コーナー回った時点で勝てると確信していた。

夏を過ぎてから、いきなりの不調が彼を襲う。

オールカマーはツインターボの大逃げで大波乱。ライスは馬群に沈む。

そして天皇賞秋の挑戦。

ここぞの本命は居なく難しいレースだった。

勿論ライスシャワーも買ったが、オッズはバラけた。

安田記念を勝ったヤマニンゼファー、マイラーだが、2000m。ライスが転けたらこの馬しか居ないと、ヤマニンゼファー絡みで馬券を購入。

案の定ライスは元気が無く、直線の延びは悪い。ヤマニンゼファーが先頭に立つ！しかしセキテイリュウオーは買ってなかった…

最後の直線はヤマニンゼファーとセキテイリュウオーの叩き合い。

内僅かにヤマニンゼファーの勝利。

この年の天皇賞秋は俺にとって、なんとも歯がゆい思い出であった。

そしてジャパンカップ。

ライスはやはりいいレースが出来なかった。勝ったのはレガシーワールド。

この馬券も外した。ウイニングチケットからいったんだよな。

ライスの単勝も駄目。

この年の4歳クラシックは皐月賞ナリタタイシン、ダービーはウイニングチケット、菊花賞はビワハヤヒデと3強と呼ばれた。

迎える有馬記念、この時期最強だったビワハヤヒデが注目最有力、そして怪我明け一年のトウカイテイオー。

それが奇跡の復活で田原鞍上トウカイテイオーがビワハヤヒデを抑え勝つ、馬券は負けはしたが感動したレース。

これは予想出来なかった。

翌年京都記念、ビワハヤヒデが圧勝。

ライスが勝てない。

続いて日経賞、いいレースをしたが、ステージチャンプに差され2着。

これは勝たせて貰った。

ステージチャンプは好きな馬だったからね。ライスと同じ父リアルシャダイのステイヤー。

その後ライスシャワーは全治6ヶ月の重傷を負い休養をすることに…天皇賞春を回避した…

残念無念。どうか怪我が治りますように！と祈っていた。

ターフに戻ってきたライスシャワーを待っていたのは、

この年クラシック三冠のナリタブライアンが新たな敵、最強の4歳馬とライスは戦うことになる。

有馬記念、レースはツインターボが驚異の大逃げ、だが3コーナーで捕まり、4コーナーから一気に直線へ。

ライスシャワーは3番人気、複勝を買っていた。やはりナリタブライアンは強すぎるな、と。

ナリタブライアン圧勝、2着にはヒシアマゾンと4歳馬が制した。

ライスは3着。嬉しかった。

翌年京都記念、ライスはやはり勝てないのか…制したのは引退レース、ワコーチカコ。パドックを見てもサッパリしない。ライスシャワーは430〜440がベスト体重。あまり絞っても駄目なんだが、カイバ食いがあまり進まないライス。

体重の増減をいつも気にしていた。

そして日経賞。

シャコーグレイドもいる。懐かしい。

勝ったのはインターライナー、2着にステージチャンプ、このレースは周りのペースに殺されてしまい6着に沈む。

もう7歳のライスシャワー、もうGⅠは勝てないのか？ライスシャワーの陣営も弱気だった。根性に期待するのみと悲愴な決意だったらしい。

取り敢えず昨年の天皇賞春を骨折で棒に振った、今年の春天。

俺は信じてた、ライスは素晴らしい高速ステイヤーだと。

だから絶対買う！人気薄でも買うと。

そしていよいよ第111回天皇賞春を迎える。俺にとっては良いニュース、ナリタブライアンが回避すると。

世間では主役の居ない天皇賞春と言われていたが、主役はいるぞ！

皆んなライスのこと忘れたのか！と言いたかった。

本命がいない天皇賞春、1番人気は岡部騎乗のエアダブリン。

最後の天皇賞春だろうライス、俺は賭けた！そしてもう一頭ステージチャンプ！

馬連ライス、チャンプの一点買い！

ゲート枠入り、緊張と興奮！

スタート！1コーナーから2コーナー、いい感じで先行する、これはライスのペースだ！正面スタンド前、落ち着いて向こう正面4番手。

クリスタルケイが引っ張る。そして淀の坂を駆け上がり、坂の頂上から一気に坂を下る。

3コーナーから先頭に踊り出た！

最終コーナー、以下を引き離す！

そしてステージチャンプが外から強襲！

もう堪らん！

行けー！行けー！

と叫んでいた。ライスシャワーとステージチャンプ、僅かなハナの差で、

天皇賞春を制覇！

涙が出た…

淀の舞台はこの馬の為にある！

見事馬券を獲らせてもらい、GⅠ 3勝目！

やった！ライス！やったよ！

そして運命の宝塚記念へと。

陣営は相性の良い京都と、種牡馬としての価値と格を上げたかったのだろうか？

馬体も万全で挑んだ。

スタート後明らかにおかしい、先行せず中団より後ろにいる。

俺は不安に駆られた。

そして淀の坂を下る途中で悲劇が起きた、ライスシャワー的場と共に崩れ落ちる。

レースなんてどうでも良かった。

ただ、ただ、ライスシャワーの方にしか目がいかない。

重傷じゃ済まされない致命症だった。

落馬した的場はライスの元へ。

ライスはその場で安楽死処置を取られた。

泣いた。

泣きまくった。

菊花賞

天皇賞春2勝

三度の栄冠を手にした彼は天馬となって大空を疾走している。

君の目にユートピア牧場、京都競馬場はどのように映っているのだろうか？

京都の地が好きだった君はこれからもずっと忘れはしないだろう。

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